第8章 シロッコ & スカイバー(前編) |
トップ・オブ・ザ・ワールド、世界一高いレストラン「シロッコ(Sirocco)」です。高いといっても値段でいえば、昨年は京都の「吉兆」が世界一だったし、場所の高さではドバイの「バージュ・カリファ」122階に位置する、アトモスフィア( At.Mosphere/442m)になるでしょう。シロッコは世界一高い場所にあるオープンエアー、つまり屋外にあるレストランで、ステートタワー63階、地上247mの位置にあります。このような場所では、安全面を確保するための法律上の問題もあるでしょうから、造るのはそう簡単ではないはず。 |
法律で思い出しましたが、かつてバンコクのカオサン通りには「ニュー・ワールド・モール」という商業施設がありました。このビルは、所有者が4階までの建築許可しか持たないのに、11階まで増築したものだから、行政当局から上層階の解体を命じられます。その後、火災にも遭って建設が放棄され、5章で紹介したゴーストタワー同様の、天井がない廃墟になってしまいました。すると、地階に雨水がたまって蚊が大量に発生。地域住民がたまらず、ボウフラ対策で魚を放流した結果、魚がどんどん増えて、今ではコイとナマズのお魚天国になっています。 〔 ニュー・ワールド・モール(YouTube動画):Giant Fish Pond in Abandoned Bangkok mall 〕(注:音声が出て、新しいタブで動画が開きます。 |
◇ スカイバー & スカイビュー ◇ さて、世界一ではないにしても、結構一人何万もお金を取るシロッコです。ここで食事をすることは断念し、隣の「スカイバー( Sky Bar )」に行くことにします。このシチュエーション、どこかであったなあ。そうそう、ドバイの7つ星ホテル「バージュ・アル・アラブ」に、やはり今回のような一点豪華主義で宿泊したときのこと。地上200mの頂上レストラン「アル・ムンタハ」に行こうとして、やはり「諸般の事情」によりこれを断念し、隣の「スカイビュー( Skyview:名前までそっくり)」というバーに行って雄大な景色とお茶を楽しんだのでした。 ( ドバイへの道~現地渡航編 14章 Al Muntaha~頂点を極める 参照)。 |
◇ マンゴ ツリー ◇ スカイバーに行く前に腹ごしらえをしようということで、ラウンジのお姉さんに教えてもらったマンゴツリーというレストランに予約を入れ、少し休憩してから出かけました。道をしっかり教わったつもりでしたが、ふたりとも結構酔っ払っているので、なかなかたどり着けません。そこで、道端でヒマそうにしているトゥクトゥク兄ちゃんに声をかけ、いくらだ?と尋ねます。すると「200Bだ」というので、「高いよ」とスタスタ立ち去ろうとすると、すぐに100Bになりました。100Bだってここらじゃ十分に高いけど、日本円で300円くらいだからまあいいか。トゥクトゥクの場合、人数で値段が変わることがあるので、「二人合わせて100Bだけんね」と、事前に念を押しておくと良いでしょう。 |
「トゥクトゥク」という名称の由来とされるエンジン音ですが、アイドリング時限定じゃないかなという印象です。感覚としては、2サイクルのうるさいバイクに、ノーヘルで二人乗りをしているようなもの。安全装備などは皆無なので、振り落とされないようしっかりとつかまっていなければなりません。でも、実際の速度よりスピード感があるので、観光気分や風を思いっきり感じられるし、カップルでキャーキャー乗るには最適かも。 マンゴツリーに到着しました。タイスキで知られるコカグループの傘下で、世界各国に支店があります。日本にももちろんありますが、日本でのお値段はかなり高めのようです。 |
「サワディカー」という、一日中使える便利な挨拶で爽やかに迎えられ、席に着くとまずシンハービールを注文(まだ飲むか!)。次にガイヤーンと、トムヤムクンを一人前ずつ頼みました。ガイヤーンは甘辛いタレに一晩漬け込んだ鶏肉を、炭火でじっくりと焼いたもの。トムヤムクンは、ハーブの香りのエビスープです。ブイヤベースやふかひれスープ、ボルシチとともに「世界三大スープ」と呼ばれています(四つあるんだけど・・)。 |
料理はどれも本当に美味しくて、肉にかぶりつきながら辛酸っぱいスープを飲んでいると、旅の疲れも一気に吹き飛びそうです。しかし幸せな時間は、あっという間に過ぎてしまいます。帰り道がまたしてもわからないので、再びヒマそうなトゥクトゥク兄ちゃんをつかまえて、100Bでホテルに連れ帰ってもらいました。カラフルなタクシーに囲まれながら突っ走っていると、火照った顔に心地良い夜風が当たって実にいい気分。 |
◇ ザ ドーム アット ステートタワー ◇ ホテルに着くと兄ちゃんは、ここの宿泊客ならもう少しふんだくれるだろうと思ったらしく、チップがどうとか言い始めました。小銭もないことだし、いつか海外でやろうと思っていた秘技「♪ コトバわからな~い ♪」攻撃でかわし、半ば強引な固い握手とともに兄ちゃんと別れました。部屋に戻ると着替えを済ませ、64階行きのエレベーターに乗りました。ダンナ河野はグレーのワイシャツにノーネクタイ、グレーのスラックスと黒の革靴という、どぶねずみルックのエコスタイル版といういでたち。 |
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