第4章 Wind Towers 〜風の別荘 7月15日(土)、ガルフ・サマーハウスからの立ち退きを余儀なくされた我々は、荷物をまとめてお引越しです。もともと2泊ともアラビアン・サマーハウスで予約していたわけだから仕方ありません。ニョーボ河野など「両方の部屋が見れてうれしい」、などとプロ根性的なポジティブ発言をしておりますが、あー正直いって面倒くさい・・・。 ◇ 紅の豚 ◇ 宮崎駿のアニメ映画「紅(くれない)の豚」のオープニングで、「この映画は、飛行艇時代の地中海を舞台に、誇りと女と金をかけて空中海賊と戦い、紅の豚とよばれた一匹の豚の物語である。」というテロップが10か国語で流れますが。この中で一つだけ右から左へ流れていく文字がありました、これがアラビア語です。多くの日本人にとっては、おそらくただの1文字もわからないことでしょう。しかし我々がふだん使用している「1、2、3〜0」という数字は、アラビア数字と呼ばれています。数字くらい読めるのでは?と思ったら大間違い。昨日レストランで支払いをしようとしてさあ困った、数字が読めません。いちばん高そうな紙幣には三角おむすびのような文字の後に「・・」がならんでいて、次に高そうな紙幣には1に似た文字の後にやはり「・・」が並んでいます。 |
上から500、100、5ディルハム | ・・・と裏に書いてあります |
裏返したら何のことはない、いわゆる「アラビア数字」と英語の両方が書いてあったので、すぐにわかりました。アラビア数字と「アラビア語の数字」は、1と9は似ていますが他は全然違います。帰国後にさっそく調べたところ、現在アラビア人が使っている数字はインドから伝わったもので「インド数字」と呼ばれるもの。我々が使っているアラビア数字(算用数字)は、それがさらにヨーロッパに伝わって今のような形になったものだそうです。先ほど「右から左に書く」と述べましたが、数字だけは左から右に書きます。ドイツ語みたいに1の位を先に発音して、次に10の位を発音するのだとか。 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 0 |
さあ、これでアラビア語はばっちり?というわけで我々の引越し先を地図で探して見ましょう。ガルフ・サマーハウスの1号ヴィラから、アラビアン・サマーハウスの15号ヴィラへの移動が決まっています。アル・カサルを取り囲むように29棟のヴィラが並んでいて、まるで大坂城を包囲する徳川家康の陣形のようです。お堀が埋め立てられていないから、「大坂冬の陣」かな?15号ヴィラは1号ヴィラからは一番離れた対角線上、シックス・センシズ・スパの近くにあるのがわかります。 |
◇ プールサイドにて ◇ 引越しまではまだ間があります。ニョーボ河野は渡航前の連日徹夜続きによる疲れが取れておらず、「動かざること山の如し」という状態。ダンナ河野が、「さっき散歩してたら近くにプールとレストランがあったぞー」、と言うとようやく重い腰を上げました。とりあえず備え付けのポットでお湯を沸かしてコーヒーを飲み、水着を下に着てプールへ向かいます。 |
220ボルトのパワーでたちまちお湯がわきます | 貴重品は部屋の金庫に放り込みましょう |
ヴィラの周囲は本当にたくさんの木や植え込みがあって、周囲からあまり見えないようになっています。建築様式は煙突のような形をした、伝統的なアラブの全方位型ウインドタワー。これは空調の発達した現在では装飾的な意味しかありませんが、もともとは上空の風を家の中へ取り込むことで空気の流れを作り出し、部屋の温度を下げるという自然のクーラーです。タワーの壁が空気の熱を奪うので、涼しい風を家の中に送り込みます。また、風のない時は部屋の中にたまった暖かい空気を夜の間に外に放出するという働きもあります。丸太のようなものが何本も突き刺さっていますが、ここに濡れた布をかけることにより、気化熱を利用して冷却効果を高めるという使い方をすることもあるそうです。 |
伝統的なウインドタワー | シンバッド・キッズ・クラブ |
途中、竹垣でかこまれた施設がありました。ここはシンバッド・キッズ・クラブという子供用の施設。シンバッドとは千夜一夜物語(アラビアン・ナイト)に出てくる、船乗りシンドバッドのこと。日本では「Sindbad」が定着していますが、英語圏では「Sinbad」という表記が多数を占めます。統一されていないのが不思議なくらいです。そういえば昔、「少年シンドバッドの冒険」という海外アニメがありました。ピンチになると腰のマジックベルトを引いて上半身マッチョ男に変身し、敵を倒すというもの。同じアラビアものでは、「大魔王シャザーン」てのもありました。 |
プールのそばには「海辺のテント」という意味の Khaymat Al Bahar というレストランと、バーがありました。先に朝食をとろうということで中に入ると、ビュッフェ形式のレストランです。受付で部屋番号と名前を告げると、すでにマディナ・ジュメイラ内の全宿泊者名簿といったものが用意されており、係のお姉さんがこれに蛍光ペンで印をつけて本人確認。手を洗いに行くと、洗面所には大量のおしぼりがピラミッド状に積み上げられています。ダル・アル・マシャフ宿泊客はいわゆる<ブレックファスト・インクルーシブ> ということで、つまり食事代は無料でした。 |
レストランの先にバージュ・アル・アラブ | プールサイドにはバーもあります |
ソーセージ、ベーコン、フライドチキン、ハッシュドポテト、豆とサラダ、シューマイ、焼きトマト、スクランブルエッグ、フレンチトースト、チーズオムレツ、サフランライスなど、朝からボリューム満点です。ニョーボ河野はよせばいいのに、カリフォルニアロールなどという寿司の一種に挑戦しています。昨日のジュース屋ですっかり気に入ったミントレモネードがあり、その横にスイカジュースというのがあったので1杯ずつ飲みました。ミントレモネードが期待を裏切らないおいしさだったのとは対照的に、スイカジュースは清涼飲料水として広く普及することのない理由がわかるような味でした。驚いたことに「ポーク・コーナー」などというものがあって、イスラム教ではご法度の豚肉を使った、ハム、ソーセージ、ソテーなどがあります。別にちょっとの間くらい豚肉を食わなくたって、日常生活に支障があるとは思えませんが、外国人の多いリゾート地ならではの配慮なのでしょう。 |
クリークの向こうにアル・カサル | 反対側にはピアシック |
食事が終わってひと休みするとタオルを借りに行って、プールで泳ぎました。ここは「アル・カサルのプール」といわれていますが、単にアル・カサルの近くにあるというだけで、マディナ・ジュメイラの宿泊客なら誰でも使えるようです。水がきれいで、水温も海とは違ってお湯のようではないのでとても快適です。さして深いプールでもないのに、プールサイドにはライフガードが男女8人もいてびっくり。長い棒状の浮き輪?を抱え、目を光らせています。話しかけてみると、国はインドやウズベキスタンなど多種多様でしたが、全員真っ黒に日焼けしているので、どこの国の人かさっぱりわかりません。あの棒状の浮き輪はいざという時に投げて、つかまらせるもので、3人までOKとの事です。しばらくのんびりと泳いだり、カメのように這ったりしていると水面にどこかで見たような円盤状の物が浮いているのを見つけました。これはまぎれもない、ダル・アル・マシャフのルームキーです。誰かが落としたのでしょう、部屋番号は書いていないので大丈夫とは思いますが、ライフガードのお兄さんに渡しておきました。 |
バギーで移動します | たくさんの緑に囲まれています |
いよいよ引越しです。大急ぎでシャワーを浴び、大急ぎで荷物をパッキングしたので、大汗をかいてしまってシャワーの意味がまったくなし。11:30に部屋を引き払って、またバギーに乗って小道を移動します。バギーは電動なので音がとても静かです。水と緑に満ち溢れた美しい景色の中を小鳥たちが飛び回っており、心地よい風を浴びながら、通り過ぎていく景色を眺めていると本当に癒されます。 |
我々の泊まる15号ヴィラ | 人相はともかく、気さくで親切な運転手さん |
15号ヴィラに到着しました。基本的な構造はガルフ・サマーハウスと同じようで、建物の中に入るとすぐにバトラー(執事)の詰め所があり、きれいな中庭がついています。ドバイは亜熱帯性乾燥気候といっても一年中暑いわけではないので、旅行シーズン中の涼しい季節は外でくつろぐのも楽しそうです。ただし、そういう時期は何もかも値段が高くなり、人も多いらしいのでどっちもどっちかもしれません。とにかく今日は外に出るのがつらいほどの酷暑。部屋に入って一息入れたら、涼を求めて人工スキー場「スキー・ドバイ」に行ってみよう! |
噴水のあるコートヤード(中庭) | すぐ近くには小さなプライベートプール |
ドバイへの道!
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