第3章 ルブア アット ステート タワー |
今回宿泊するホテルは、ルブア アット ステート タワーという、全室スイートの超高層ホテル。その中でも、タワー クラブ アット ルブアと呼ばれる、クラブラウンジの使える高層階限定(51階~59階)の特別な施設です。さらに部屋は、チャオプラヤー川を一望する、タワー クラブ リバービュー スイート。まさに「選ばれし者」という感がありますが、そもそもLCCに乗って来るような客が泊まるホテルではありません。つまるところ、「何かを得るためには何かを犠牲にしなければ」という、いつもの一点豪華主義のあらわれなのでした。 |
◇ エアポート レール リンク ◇ スワンナプーム国際空港駅に、エアポート・レール・リンクのシティラインが到着しました。さっそく乗り込もうとすると、駅員が笛で「ピピーッ!」と激しく牽制。ここは終着駅なので、全員の降車を確認してからでないと乗車は許されません。日本だと反対側のホームでいったん乗客を降ろし、車掌がひと通り点検した後に、こちら側のホームのドアを開けるので、少なくとも「ピピーッ!」はありません。時間帯にもよるのでしょうが、車内はかなり空いていて大荷物でも楽に座れました。間もなく電車が地上に出ると、線路と平行して高速道路が走っているのが見えます。 |
各駅停車のシティラインは、30分かけて7駅目のパヤータイ駅を目指します。なお、150Bのエクスプレスだと、ノンストップの15分で5駅目のマッカサン駅まで行くことができます。マッカサン駅にはタイ国際航空のチェックインカウンターがあるので、帰りはここで手荷物を預け、空港のカウンターに並ばずに直接出国ゲートへ・・という技も使えそうです(今回はジェットスターだから無理だけど)。 |
◇ BTS スカイトレイン ◇ 電車はまもなくパヤータイ駅に到着し、改札機でトークンを回収されます。次に「To BTS(BTS行き)」と書かれた看板をたよりに、スカイトレイン(高架鉄道)のBTS乗り場へ向かいました。タッチパネル式券売機で、一人42B払ってカード式チケットを買い、「To Bearing(ベーリング方面)」と書かれた1番ホーム(※)へ向かうエスカレーターに乗ります。間もなくBTSスクンビット線が来ました。車両は陽射しを防ぐためか、派手な広告を車体全面に描くためか、外側からは車内の様子がまったく見えません ※BTSではすべての駅でホームの番号が統一されています。ベーリング(E14)方面が1番、モーチット(N8)方面が2番、バーンワー(S12)方面が3番、ナショナルスタジアム(W1)方面が4番です。 |
車内は結構混んでいて、テレビ画面で音声つきのCMを流しています。CMの内容ですが、一例を挙げると3人の女の子が温泉でくつろいでいるところへ、突然腰タオルの若い男が現れ、「キャーッ!」とお湯をかけられて撃退されてしまいます。しかし男は持ってきた商品のおかげで許され、4人で仲良くその商品をPRするというもの。車内では延々とこうした大げさなリアクションの、食品や栄養ドリンク、化粧品などのCMが流れ、日本関連企業のものも多く見られます。けれど他の乗客は毎度のことで関心もないらしく、我々だけが熱心に見ていました。画面上では時々思い出したように、「次は〇〇駅」という字幕が下に入ります。 |
スクンビット線では2駅しか乗らないので、すぐにサイアム駅に到着しました。サイアムとはタイ王国のことをその昔外国が呼んでいた名前で、英語読みだとピンときませんが、日本式に読むと「シャム」。BTS路線図によると、北西部から南東部へ流れる黄緑色がスクンビット線、中心部から弧を描きつつ南西部に抜ける青緑がシーロム線で、これらが上下2層に分かれたサイアム駅のホームで結節しています。 〔BTS最新路線図:BTSの公式サイト(英語・タイ語) 〕(新しいタブが開きます。路線図は画面の下部にあります。) |
そういえば、劇画ゴルゴ13の147巻「歪んだ車輪」の作品中、ゴルゴがBTSを狙撃する場面があります。彼はサイアム駅へ下見に訪れた後、近くの工事中のビルを一日貸し切りにし、そこからシーロム線回送電車の車輪を撃って脱線させました。ちょうどその地点が、スクンビット線とシーロム線との合流地点です。 |
◇ 東南アジアの喧騒 ◇ さて、サイアム駅を降りると、反対側のホームにちょうどBTSシーロム線バーンワー行きが来ています。ここで対面乗換えをして、5駅目で無事サパーンタクシン駅に到着しました。乗り継ぎも実にスムーズで、空港からは一時間程度でした。 駅を出て階段を降りると、真っ赤なトラックがずらりと停まっています。これは左右に計2列の座席を持つ、ソンテウという乗り合いバス。道路のあちこちには、三輪タクシーのトゥクトゥクが走り回っています。救命胴衣のようなベストを着た2人乗りバイクも数多く見られますが、これは「モーターサイ」というバイクタクシーで、お客はもちろんノーヘル。 |
歩道にはタイ料理や中華の屋台が立ち並び、車道は路上駐車の車であふれています。電柱には真っ黒な電線が100本くらい、髪の毛のように無造作に束ねられています。そして人々は鶏を油で揚げ、魚を焼き、大鍋をごしごしと洗っています。どうやら我々は細い道を遠回りした結果、「バンラック市場」という由緒あるマーケットに出てしまったようです。 〔 シーロム周辺地図:タイ国政府観光庁(日本語) 〕(新しいタブがPDFで開きます。地図左下、シーロム通り突き当たり付近に、ルブア アット ステート タワーがあります。なお、サパーンタクシンの駅番号は、現在はS6に変更されています。 |
それにしてもこんな「東南アジアの喧騒」的な下町に、冒頭で紹介したような場違いなホテルが建っているのでしょうか。狭い歩道でスーツケースをごろごろと転がしながら上空を見上げると、確かに写真で見たことのある、ルブア アット ステート タワーがそびえ立っています。あまりにも高いので、近づくにつれかえってわからなくなってきます。 |
通常このようなホテルは、独自に「排他的高級領域」みたいなものを設定しており、「宿泊客もしくはレストラン予約客以外はみだりに領域内に立ち入ってはいけんよ」、と結界を張っているものです。だから、フツーに屋台の立ち並ぶ下町に、高層ホテルがそのまま建っている光景はとても奇異に感じられます。 大きな地図で見る と言われても写真ではわかりづらいので、百聞は一見にしかず、Google マップのストリートビューを見てみましょう。上はチャルンクルン通りとシーロム通りの交差点から見た、ホテルの入口付近です。マウス操作で上部を見上げてみると、ルブア アット ステートタワーの高層階が確認できます。画面を180度回転させて、道の両脇にトゥクトゥクの停まっている細い路地を進むと、賑やかな屋台が並んでいるのが見えます。 |
ホテルの前に着くと看板があって、左がホテルで右がプラザとなっています。プラザって何だ?と考えながらうろうろしていると、ポーターのおっちゃん達がわらわらとやって来て、あっという間に荷物がひったくられてしまいました。そして、人に見られたらまずいかのような早業で荷物預かりタグを渡され、不安になるほどの軽装でフロントに案内されたのでした。 |
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